禁煙を始めると、2日目あたりから味覚改善効果に気が付きます。どんな人でも遅くとも禁煙1週間後には味覚が変わり、食事が美味しくなってきます。
嗅覚も敏感になり、味覚との相乗効果を発揮することも食事に新鮮味を感じることに繋がっていくと言われています。これは、タバコに含まれている有害物質の一つ「ニコチン」の持ついくつかの作用によるものです。
ニコチンには血管を収縮させる、血糖値を上昇させて空腹感を感じなくさせる、味や匂いといった感覚を鈍くさせる、といった作用があります。
タバコを吸って血管が収縮するということは、胃や十二指腸などの消化管の血管も縮まりますので、胃腸の働きが低下して、最初に食べ物が入ってくる胃に一番負担がかかり不快感を感じることになります。
食道から十二指腸まである括約筋(普段は逆流しないように防いでいる筋肉)が緩み、消化液が食道まで戻って吐き気を感じることもあります。

人間の身体は満腹感や空腹感を血糖値の変動で判断しているわけですが、ニコチンの持つ血糖値上昇作用は空腹感を感じにくくさせてしまいます。
これは、喫煙者が持つインスリン抵抗性によるもので、ニコチンは想像以上に血糖値のレベルへ大きな影響を与えることが分かっています。
ニコチンが副腎を刺激することにより血液中のグルコースレベルを急激に36~75%も下げ、脂肪細胞から分泌されるホルモン「アディポネクチン」の減少も促進してしまいます。
このアディポネクチンとは全身に張り巡らされている血管のメンテナンス作用を持ち、長寿の鍵とも言われている成分です。これが減っていくと血糖値が高い状態が続くことが分かっていて、空腹感をなかなか感じなくなってしまいます。
そこで禁煙すると血糖値が正常化され、空腹の時にきちんとお腹が空いているという判断ができるようになります。
嗅覚が正常に戻るというのは、タバコに含まれている有害物質が常に鼻の粘膜に付着してしまっていた状態からクリーンな粘膜状態になったということになります。禁煙をすることにより、これらのさまざまな要因から解放されるため、食事が美味しくなります。

禁煙すると太るって本当?

禁煙をすると太るというのは事実です。禁煙により味覚改善となり、食事が美味しく感じるため、食欲も正常化されるからです。タバコのニコチンによる味覚障害は、舌の味覚を感じる部分が麻痺する、亜鉛不足によって本来の味が分からなくなるという2つのことが原因だと言われています。特に亜鉛はもともと人間の体内に存在するのにもかかわらず、タバコを吸うことによって減っていき、不足状態になってしまいます。
味覚障害が正常化されると美味しく感じるだけでなく、味付けの濃さにも敏感になり、より美味しさを求めて味付けも見直すようになるため、食欲も増すことに繋がります。
ニコチンの作用による血糖値の正常化によって空腹感もきちんと感じるようになり、胃腸の調子も良くなるため、禁煙直後は一時的に食欲が増し、どうしてもたくさん食べたくなって太るとも言われています。
タバコのニコチンには中毒性があるので、禁煙直後はどうしてもストレスが溜まります。タバコを吸えないストレス発散として、正常化した食欲に拍車がかかる人も多いです。
ここでタバコを吸ってしまえばストレス発散となるかと思いきや、イライラはニコチンによるものですので、実際にはストレス発散とはならないことを覚えておきましょう。禁煙中にイライラするのは禁煙がうまくいっているという証拠です。
ここでストレス発散としてお菓子を食べてしまうと、太ることになります。

禁煙後しばらくして落ち着いてくると、溜まっていたニコチンが体内から次第に抜けていき、身体が正常な働きを取り戻して、食欲もきちんとコントロールできるようになってきます。
禁煙によるイライラも少しずつ落ち着いてきますので、禁煙して太らないようにするためにも、ゆっくりと日々を過ごしましょう。